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【連載】いまさら聞けない~MA-1(フライトジャケット)について~

FASHION 2021.02.15 REGGAWS

ファッションの歴史に触れて



こんにちは!REGGAWS 杉浦です。
戦中や戦前にその原型が作られながらも、今なお多くのブランドのデザインソースとされているミリタリーウェア。軍隊がミッションに必要なものを詰め込んだ機能美から成るデザインで男心をくすぐり、時代を超えて愛されています。

その中から今回は、ミリタリーウェアの定番 MA-1(フライトジャケット)について、形状はもちろん分かりますが、どうやって誕生したのかなど知らない事ばかりだったので、フライトジャケットの歴史とともに調べていきます。


第一次世界大戦の米軍の戦闘機 F-20
コックピットは開いていたそうです。



1914年に第一次世界大戦が勃発してから飛行士が着用するウェアに対するニーズも明確化され始めました。とりわけ寒いヨーロッパの更に上空ともなるとその寒さは半端じゃなかったようで、寒さのあまり身体は動かない、酸素が薄くなるなどで失神するパイロットが結構いたそうです。

こういった状況の中で、アメリカ陸軍に航空衣料委員会が設立され、本格的にフライトジャケットの研究・開発が始まったそうです。


B-2 フライングスーツ


前述したように、フライトジャケットにまず必要とされた要件は防寒だったため、ここから10年近くはもっぱら冬期用のものの開発に重点が置かれました。この間に登場するのが B-1、B-2(1926年)といったフライトジャケット…では無く、フライングスーツ(オーバーオール)です。

凄く暖かそうですが、動き辛そうと思ったのが正直な感想です。あと、僕は古着のツナギを着たことがあるので分かりますが、何しろトイレが大変なんですよね。あるあるですが、全裸になるなど(笑)


B-3フライトジャケットを着用する米陸軍航空隊の爆撃機搭乗員


1930年代になると、MA-1と同じく、今では定番とも言える A-2 、B-3フライトジャケットが登場します。ちなみにジッパーの実用化は、1930年代のフライトジャケットの発達に大きく貢献したそうです。

この頃から吹きさらしだった飛行機のコックピットが密閉式になった結果、軽量化されたモデルが採用されるなど、徐々に進化します。


A-2サマーフライングジャケットを着用する米陸軍航空隊の爆撃機搭乗員



一方、冬期用に比べてその開発が後回しにされていた夏期用も1927年には A-1サマーフライングジャケットが採用されます。そして1931年には、A-2サマーフライングジャケットが登場しました。

写真を見て分かる通り、冬期用のフライトジャケットと比べると厚さが全然違いますよね。これでも暑そうに見えますが、これまでに比べたらだいぶ快適だったことと思います。


第二次世界大戦時 日本軍の脅威となった 米軍の戦闘機グラマンF6Fヘルキャット



1939年から始まった第二次世界大戦に、1941年アメリカが参戦すると、それに伴ってフライトジャケットの需要・供給は増大しました。しかし、あまりに急激な需要の拡大に革不足・コスト増が深刻化し、供給が追いつかなくなる懸念が出てきて、新素材によるフライトジャケットの開発が1942年から始まりました。ここでも冬期用が優先され、まずは「防寒性」が重視されたそうです。


MA-1の形のベースとなった B-15フライトジャケットを着用する米陸軍航空隊の爆撃機搭乗員



素材として採用されたのは、丈夫なコットン・ギャバジンで、それにウールまたはパイルの組み合わせた布製フライトジャケットが開発されました。夏期用のフライトジャケットは重要性が低いとの認識から布製ジャケットが採用されるのは1945年からみたいです。

一気に MA-1のような見た目になりました。こういった進展は何かワクワクするものがあります!


MA-1を着用する米陸軍航空隊の爆撃機搭乗員



第二次世界大戦終了後、1947年には陸軍航空隊が独立してアメリカ空軍が誕生、飛行機はジェット機時代を迎えます。それに伴ってフライトジャケットの表地も布から、より軽くて丈夫なナイロンへと移行します。

1945年、B-15B がナイロン製となり、極寒地用のジャケットも羊革からナイロン製の N-2、N-3 となります。B-15B はその後改良を加えられながら、B-15C 、B-15D と続き、そして1950年代初頭に遂にMA-1へと進化したそうです。

試行錯誤により採用されたMA-1は、ナイロン製ならではの動きやすさ、中綿を入れることで-10度でも耐えられる防寒性を実現しました。


空母ロナルド・レーガンを訪問した米国第46代大統領ジョー・バイデン(2009年)。CWU-45/Pを着用しています。


更にその後…

1973年にアメリカ海軍がアラミド繊維を使用した初の冬期用フライトジャケットとして CWU-45/P を採用、1976年には空軍によっても採用され、現在に至っています。また、夏期用としては前述の通り、1978年に空軍がCWU-36/P を採用、現在では海軍、陸軍でも使用されているそうです。

ここまでフライトジャケットの歴史について調べましたが、開発されたモデルはここまで多いのかと目が点になりました。新しいモデルが登場する度に問題が出て改善しての繰り返しで、CWU-45/Pという、フライトジャケットまで辿り着いて素直に心が踊りました。

数多くのモデルがありますが、様々な変遷を経て完成した MA-1は、現行モデルである CWU-45Pが登場するまで、マイナーチェンジを繰り返しながら永きに渡り採用された、最もポピュラーなモデルで、何か特別なモデルだと感じます。

少し長くなってしまいましたが、ミリタリーウェアの奥は深く、ご紹介させていただいた内容はほんの一部です。今回ご紹介出来なかった部分も、もっと細かく調べてみようと思います。

それでは最後に、REGGAWSにある MA-1をご紹介させていただきます。


OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™ / ARROW VINTAGE BOMBER ¥188,000+ATX


OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™ / ARROW VINTAGE BOMBER ¥188,000+tAX



OFF-WHITE(オフホワイト)の MA-1です。ヴィンテージ加工が施されており、リアルヴィンテージのような風合いです。着脱可能なフードが付いており、お好みで取り外していただけます。本物の MA-1同様にポケット等のパーツが少なく、とてもシンプルな見た目をしています。これは、もともと狭い軍用機内でレバーなどに引っかからないように、必要最低限まで機能をそぎ落とした結果できたデザインと言われています。




バックデザインにはブランドのアイコンであるアローロゴが施されています。




左腕の二の腕部分には、たばこを収納するための、シガレットポケットが備え付けられています。さらに、ペンを収納するためのケースも4つ付いています。


今回はミリタリーウェアの中から、MA-1というモデルのフライトジャケットについて調べてみましたが、想像以上に歴史が深くて驚きました。一度に全てを把握するのは難しいので、こまめに調べて歴史を把握したいと思います。

それでは、次回もお楽しみに!


今回ご紹介したアイテム以外にも、2021年春夏コレクションの新作が発売しています。

是非 JACK in the NET オンラインストアでご覧下さい。


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