特集 2021.09.09
9月1日に向けた企画のひとつが、「Text」デザイナー石川俊介氏の協力により実現した特別なコート。製作を依頼したブランドは、石川氏自ら海外の産地へ足を運び、服の原料となる素材を選んで作り上げるこだわりのウェアブランド。現在コロナ禍の影響で海外へ行く事ができないため、ブランドを一時休止している。それほど石川氏はこのブランドに強い気持ちを持っている。その「text」を、私たちのお店がある岐阜バージョンとして限定復活。今回その生地選びに同行させていただいた。石川氏が以前からお付き合いのある岐阜県大垣市に本社を置く『三甲テキスタイル』さんへ伺い、まずは普段目にすることのない生地になるまでの様々な工程が見られる工場を見学。そして、石川氏が生地を選ぶ最中、今回のコート制作への想いを聞いた。
今回石川氏と共に訪れたのは、数年前からお付き合いがあるという『三甲テキスタイル株式会社』さん本社内の毛織物工場。ここは、1914年(大正3年)に岐阜県大垣市に創設され、以来100年以上にわたり羊毛にこだわって製造している。大垣市にあるのは、毛織物製造に適した良質な天然地下水(伏流水)に恵まれているからとのこと。揖斐山系が育む水には適度なミネラルが含まれ、それが作用して鮮やかな染色やソフトな仕上がり、高級感のある風合いを生むという。100年培われた技術力と最新テクノロジーの融合によって作られる生地は、まさに最高品質と言っても過言ではない仕上がりだ。
その工場見学では、紡績や加工、染色、検品など全ての工程について工場の方からひとつひとつ丁寧にご説明をいただいた。それによって、より生地の知識を深くすることができた。何より、普段見ることのない大きな専用機械や、特別な織り機、染色の様子などを見るだけでも純粋に楽しい。この経験は、間違いなく今後に活かせると思う。石川氏はというと、工場で働く方々や職人さんなどへ質問するなどして熱心に話を聞いていた。有意義な工場見学になったのではないだろうか。
北村: まずは「Text」への想いから伺ってもいいでしょうか?
石川: 「Text」は僕が今一番やりたいことなのですが、やりたい事をしようとするとどうしても値段がすごく高くなっちゃう。それでは買える人が限られてしまいますよね。僕らがやりたいのは、ペルーの農場などの産地を支援していくことなのですが、そのためにはある程度の量を買ってあげなければいけない。そうなると量を売る必要があるので、今の「Text」では難しいんですよ。そこを何とか買いやすくしたいと思っています。
北村: それって結構難しい問題のような気がします。
石川: そうなんです。でもそれをやっていかないと色々なことが前に進んでいかないし、下手すると自己満足で終わっちゃう気がして。だから、一回戦略を全部変えなければいけないなと思っています。どこまで出来るか分からないですけど…。
北村: 期待して待っています!そして、今回は私たちの企画に賛同いただきありがとうございます。今日はその生地選びに同行させていただいたのですが、『三甲テキスタイル』さんとはいつ頃からのお付き合いなんですか?
石川: 5、6年ほど前からですかね。最初はフラノの仕上げだけお願いしていたのですが、それから工場へも行かせていただき少しずつお願いするようになって、今では生地から全部やっていただいています。いつもいいものを作ってくださるので感謝しています。
北村: 先程の工場見学の際にトップ染めのご説明をしていただいたのですが、もしかして「MARKAWARE」でよくあるトップグレーというカラーって、トップ染めしたグレーということですか?
石川: そうです。トップ染めというのはまだ綿の状態で染めていることです。トップって工程の最初だから「頭」という意味のトップではなくて、原料の綿を巻いているものがコマに似ているからなんですよ。コマは英語でトップなので。
北村: そういう意味だったんですね。トップの色は見ていていいなと思いました。今コートの生地を選んでいるわけですが、石川さんの思うコートのイメージを教えていただけますか?
石川: このコートはかなりストーンと真っ直ぐなパターンなんですよ。人間の体ってウエスト部分がくびれていて、肩が一番横に出ていますよね。だから、肩で張ったままくびれているウエスト部分では膨らんでいるように見える。そういうシルエットになっているのがこのコートの面白さ。でも、あまり柔らかい生地にするとストーンと全部落ちちゃうので、張りを出したいなと。それには平織で張りのある生地の方がいいんですよ。
北村: 確かに生地はそういったものの方がシルエットは面白そうだなと思います。
石川: しっかり打ち込まれていて、仕上げもちょっと硬くしているジャリっとした生地の方が、張りが出ていいですね。同じ平織でもトロっとしたものになるとストンと落ちてしまうから、これぐらい張りのある方が面白いと思う。さらに、もう少し軽さが加わってくるとより膨らみ感が出るかな。
北村: コートは軽い方が着やすいですからその方がいいですね。石川さんの思うコートの理想像をお聞きかせください。
石川: メンズのコートに関していうと、長く着られて良いものでなければいけないと思っています。コートって一番外側の服だし、安っぽいのか高級感があるものなのかが一番分かりやすいから、ブランド評価のひとつの軸になるアイテムなんじゃないかと。作っている方にはその感覚があるので、毎回大事に作っています。毎シーズン型数を減らそうと思うのですが、好きだからどうしても作っちゃうんですよね(笑)。
北村: 発注の際、どれがいいか悩むので大変です(笑)。
石川: 全部つけてもらえれば(笑)。でも、コートは一番高いアイテムになってくるので悩むのも分かります。
北村: 今回ウールでコートを作られますが、やっぱりコットンで作るよりも難しいんですか?
石川: 難しいですよ。コットンとウールとでは性質が全然違うので。先程ウールのご説明をしていただきましたが、特徴が全然違うのでそこを上手く形にしたいし、良いものに見えるようにしたいですね。
北村: やっぱりコットンの性質に近い生地の方が扱いやすいんですかね。
石川: ですね。どちらかというと合繊の方が多少軽さも張りもあるので作りやすいですね。膨らんでくれる生地の方がこのコートは作りやすいのですが、ウールっていいコシはあるけど落ち感が出てくるものなので、どんな形になっていくのかを考えながら作っていく必要がある。なので、ウールでも落ち感の出やすい綾織ではなく、張り感の出やすい平織の方がいいなと。綾織は縦糸と横糸の接点が少ないんですよ。コットンで分かりやすいのがサテン生地。トロっとしていますよね。それは、何本も飛ばしながら織っているからなんです。でも、平織は必ず一対一で織っているので強度が出やすい。一番分かりやすいのがキャンバス。硬くて張った生地ですよね。今回のコートは張った感じが欲しいので、平織の方がいいなと思っています。
北村: なるほど。今回コートに使用する生地は決まりそうですか?
石川: うーん。正直服って作ってみないとどうなるか分からないところがあって、上手くいきそうだと思ってもダメな場合もあるし、思ったようにいくこともあるので難しいですよね。でも、今回見させていただいた平織のジャリっとした生地がいいなと思ったので、その硬さを保ちながら、もうちょっとワッシャーっぽくした風合いのものをお願いしようかなと思っています。必ず良いものを作りますので仕上がりを楽しみにしていてください。
完成した商品がこちら
PROFILE
石川俊介
Ishikawa Syunsuke
1969年生まれ。2002年に「MARKAWARE」を立ち上げ、2009年にをスタートする。2011年に東京の中目黒に直営店『PARKING』をオープン。19年秋冬より、サステイナビリティを打ち出したブランド「Text」を展開している。
三甲テキスタイル株式会社
大垣市室町三丁目74番地1
0584-81-5130
https://www.sanko-textile.co.jp
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