Off-White c/o Virgil Abloh（オフホワイト）

こんにちは！REGGAWSの吉澤です。
以前から何度もカラヴァッジョの絵画について触れていますが、今回は、オフホワイトの2021年春夏コレクションで発売している絵画プリントシリーズから、”果物籠を持つ少年（Boy with a Basket of Fruit）”について調べてみましたので、ご紹介していきます。
“Caravaggio（カラヴァッジョ）”の絵画について以前も触れているので、ぜひ読んでいただけたらと思います。

＜Off-White c/o Virgil Abloh™️ （オフホワイト）の代名詞プリント”CARAVAGGIO”とは…＞

＜Off-White™️復刻デザインの絵画”Saint Jerome Writhing”＞

今回使用された”果物籠を持つ少年“は、カラヴァッジョの得意な技術が詰まっており、初めてこの絵画を見た時に感銘を受けました。
2021年春夏コレクションのオーダーの際にこの絵画が使用されているのを見て、思わずオーダーしたいと言ったのを今でも覚えています。

それでは、早速「果物籠を持つ少年」について見ていきましょう。

果物籠を持つ少年は、1593年頃の作品で、カラヴァッジョが宗教戦争の激しいローマに、生まれ故郷のミラノから移住してきた頃の作品です。
カラヴァッジョは1600年代前半に独り立ちをして、数々の名作を生み出していますが、この作品は、ローマ教皇クレメンス8世のお気に入りの画家だったジュゼッペ・チェーザリ (Giuseppe Cesari) の工房で助手を務めている際に、描かれた作品だそうです。
ジュゼッペ・チェーザリの工房では、「花と果物の絵画」をテーマに「果物の皮を剥く少年」、「果物籠を持つ少年」、「病めるバッカス」などの作品を残し、その果物の描写や明暗技法の使い方が高く評価されたそうです。
絵画のモデルとなっているのは、「病めるバッカス」同様カラヴァッジョ自身であると言われています。
カラヴァッジョの初期作品の人物描写における大きな特徴が、やや陰鬱で虚ろげな表情をしておりどこか寂しさを感じさせるところです。
顔より上の背景を敢えて明るくして、まるで少年が浮いているように見せることでよりモデルを強調させているのではないかと思います。
この作品の一番のポイントは、籠の中の果物の描写です。
より写実的に果物を描いているのが特徴的で、当時このように果物を表現した画家は少なかったそうです。
桃やマスカットなどの色や形をリアルに描き、果物や草木を入れている籠も丁寧に描き込んでいます。
溢れそうな果物や草木を籠の中にきっちりと収めていることから、カラヴァッジョがどれだけ完璧に細部までリアルに表現しようとしたかが伝わってきます。
ここまで素晴らしく描かれている果物籠ですが、カラヴァッジョの完成形と呼ばれている作品があります。

それまで多くの画家が描いてきた瑞々しく美しい果物の描写のみならず、枯れ朽ちる葉や腐敗する果実など、醜さや下劣とされる描写まで、徹底したリアリズムを以って現実を細部まで表現しており、正にカラヴァッジョの果物作品の集大成とも言える絵画ではないかと言われています。
この作品は、カラヴァッジョの生涯貫かれる写実的な現実描写の表れであり、後世に多大な影響を与えることになった代表作の一つであると言われています。

僕はこの作品を調べて、宗教戦争が激化し、差別や偏見の多かった時代に反発を受けながらも自分の想いを絵で表現したカラヴァッジョの意思に感動しました。
1600年以降の作品は、人物描写は変われどメッセージ性の強いカラヴァッジョの写実的な現実描写は変わらないので、ぜひ他の作品も調べてみたいと思います。

最後に今回僕が調べた、果物籠を持つ少年を使用したアイテムをご紹介します。